契約違反・故意・重大な過失が有った場合の退去費用は

退去費用の負担


借主に故意・契約違反・用法違反・重大な過失があっても退去費用・原状回復を借主が当然に全額費用負担する必要はありません

 

ペット不可の部屋でペットを飼ったり、禁煙の部屋で煙草を吸うと用法違反・契約違反になります。

 

むしゃくしゃして、わざと壁に穴を開けたり、ドアを壊すと故意になりますが借主が退去費用・原状回復を全額費用負担する必要はありません

 

①最高裁判所では

家賃は全額が貸主の利益ではなく、通常損耗・経年劣化の費用が含まれており退去時に通常損耗・経年劣化の支払いは必要ないと言っています

 

最高裁判所第 2 小法廷判決 平成 171216 日にて

建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることに行われている」と判示されています

 

損害賠償は時価が基本である

 

不法行為に基づく損害賠償制度の目的は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることにある(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)。

 

 

物を壊したら、時価相当額を弁償することになります

たとえば、交通事故で相手の車を全損させたら、同じ車種の新品ではなく、同じ年式や走行距離の中古販売価額が弁償額になります。

 

③原状回復のガイドラインには

賃借人がに行ったクロスの落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などの一部は賃借人の負担となると記載されており、全額の負担ではないと記載されています。

 

故意・契約違反・用法違反・重大な過失があっても退去費用・原状回復を借主が全額費用負担する必要はありません。


《故意の場合》


大人がわざと壁を殴ったり・ドアを壊した場合には、故意になり借主が費用負担をします。今回は入居年数15年を考慮し50%の費用負担と査定させていただきました

 



《重大な過失の場合》


うっかりしてやかんを掛けたままにして、部屋で火事を起こした場合は、重過失になる可能性があり原状回復費用については、入居年数などを考慮し70%の費用負担と査定させていただきました。