アパートマンションで賃借人が死亡した場合でも賃貸借契約は消滅しませので相続人に契約は継続されることになります。
相続人に承継されるのは、賃借権のみならず、その部屋の敷金の返却請求権、毎月の家賃債務、退去費用、原状回復も相続されます。
先日アパートのお部屋でお亡くなりになり、管理会社より高額の費用を請求されたお客様より2件の問い合わせがありました。2件とも100万円を超える請求が来ていました。
孤独死について退去費用の相談が有りますが、管理会社・大家さんが孤独死について異常なくらい匂い・心理的瑕疵に反応し高額な退去費用が請求されています。
高額な退去費用費用請求については裁判所でも判断が分かれています。
証拠を揃え大家さんから裁判を起こしてもらい自分で対応し裁判所の判断を仰いだ方が良いと思います。
その方が早く、金額も低く決着することが多いようです。
賃貸住宅の事故物件(孤独死)の補償などを扱う保険会社でつくる日本少額短期保険協会(東京)によると、統計を取り始めた2015年4月から22年3月までの特殊清掃の費用は平均23万5839円で、最大は178万1595円。
リフォーム費用は平均38万1111円で、最大は454万6840円だった。
家主の平均損害額は92万4000円に上った。
一般的な退去費用のように数万円の請求金額では無く、百万円単位の請求が来ます。
お部屋の中でお亡くなりになりになった相談の1件は病死で、もう1件は自殺でしたが、同じく部屋の中でお亡くなりになっても退去費用については違います。
もちろん、お亡くなりになる前の故意・過失・管理が悪くて部屋を汚したり、傷をつけると原状回復費用の負担が必要になります。
これは、病死でも自殺でも変わりません。
お亡くなりになった後に部屋が汚れたり、臭いがついた場合はお亡くなりになった原因で違います。
病気でお亡くなりになることに、故意・過失・管理責任はありませんので死亡が原因の原状回復費用を負担する必要はありません。
自殺については、故意が認められますので、死亡が原因の原状回復費用を負担する必要があると思います。
病気で亡くなり早期に発見できていれば、通常の退去時の精算ですが、一方で、発見が遅れ、遺体が腐敗していたような場合で、部屋の床を全面張替えや臭いがとれない状況まで行くと、裁判所の判断もわかれているようです。
裁判所では、病気での室内での死亡について善管注意義務違反であるとして損害賠償を請求し、一部は認められたもの、または善管注意義務については否認された判決が出た事例もあります。
私は個人的には病気でお亡くなりって早期には発見されなく、部屋の中に損害があろうとも、原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るになっておりますので病気でお亡くなりなったことに故意過失善管注意義務違反があったとは思えません。
人間は誰でも死ぬのです。
それに過失がありますか?
お部屋の中でお亡くなりアパート・マンションの資産価値が下がったことに、心理的瑕疵があると損害請求が請求されることがあります。
心理的瑕疵とは、それを知っていたら買わなかった!というほどの隠れた事象があることを指します。
一般的に、自殺については心理的瑕疵に該当するとされる場合が多いですが、自然死や病死等の事件性がないものについては原則として心理的瑕疵に該当しません。
自殺があった物件は、事故物件として扱われます。
事故物件を貸そうとすると空室のリスクや家賃の値下げがあったり、また売却しようとしても市場価格で売ることが出来ないため、その資産価値が下がった分の価格を相続人に請求するのが心理的瑕疵にある損害賠償請求になります。
長谷川行政書士事務所
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